津波発生のメカニズム
津波は、低頻度ですが、一旦発生すると多大な被害、特に、多大な人的被害を起こす災害です。
2004年12月のスマトラ島沖巨大地震では、インド洋沿岸で23万人を超え、
2011年3月の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)でも、1万9,000人以上の人的被害を出す
大災害となったことは記憶に新しいと思います。
海に囲まれている日本列島の沿岸は、昔からたびたび津波被害に見舞われてきました。
1896年6月の明治三陸地震津波では、東北地方の三陸沿岸で、2万2,000人もの死者が出ました。
その後、アウターライズ型地震※ として昭和三陸地震が発生し、
これに伴う津波により3,000人もの犠牲者が出ています。
(※アウターライズ型地震 とは・・「アウターライズ」とは、海溝の陸から見て外側(アウター)にある盛り上がった地形を指す語で
海溝の海側で発生する地震のこと。)
一方、日本では様々な津波対策も実施されており、津波はローマ字で「tsunami」と書いて、
国際語になっています。
津波は、潮汐を除く気象学的以外の自然現象により生じる波(波動)であり、
地震だけでなく、様々な原因により発生しています。
火山噴火、斜面崩壊(2008年の岩手・宮城内陸地震でも土砂がダム湖に入り津波を発生している)、
非常にまれですが隕石落下などもあります。
地震の揺れが弱くても、大津波がくることがある!
~地震津波~
多くの津波は、海底で地震が起きて、陸上でも強い揺れを感じ、やがて津波が襲来します。
しかし、地震の揺れは小さいのに、津波だけが襲来する例があります。
このようなタイプの地震を「津波地震」と呼んでいます。
1896年 明治三陸地震津波が、その典型的な例でした。
陸上での揺れはせいぜい震度2か3程度で、ほとんどの人が気にも止めなかったのに、
地震から30分あまりたって大津波が沿岸を襲い、歴史上最大の死者を出す大災害になりました。
このような津波地震はどんなしくみで起きるのでしょうか?
ひとつの理由は、断層の動きです。
海底下の断層破壊が急激に進めば、陸上では強い地震動を感じます。
しかし、場合によっては、断層破壊がゆっくりと進行することがあります。
断層がヌルヌルと動くから、陸上では地震の強い揺れを感じません。
ですが、破壊した断層面の面積は、断層が速く動いたときと変わりませんので、
海底地形はゆっくりではありますが同じように変動し、津波も同じように発生します。
地震による津波の約10%は、津波地震によるともいわれています。
このようなタイプの地震は、
観測するのに技術的な課題が多く、
現在の所、津波予報が万全ではない、という状況です。
参考文献
『防災士教本』
特定非営利活動法人 日本防災士機構.
防災士 ライフ&サバイバルコーチ 杉村
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